はじめに
ホワイトペーパーは、BtoBマーケティングにおいて、リードの獲得とナーチャリングに役立つWebコンテンツの1つです。コロナ禍以降、アウトバウンドからインバウンドへとマーケティング手法がシフトする中で、ホワイトペーパーの役割はますます大きくなっています。
本記事では、そんなホワイトペーパーの内容と種類、構成方法についてご紹介します。
ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーは直訳すれば白書ですが、マーケティング用語としては、潜在顧客であるリードに提供するWeb上の資料を意味します。内容は企業パンフレットのような自社紹介というよりも、リードの課題解決に役立つノウハウやレポートなどの情報です。ダウンロードしてもらうことで、資料提供側はリードのプロフィール情報が得られるとともに、自社への信頼度・好感度も高められるというメリットがあります。
ホワイトペーパーは、集客用ブログやランディングページと並んで、BtoBマーケティングでは欠かせないWebコンテンツのひとつです。初めて作成に取り組む場合は、PDFよりも、テーマやボリュームを自由に決められるebookでの発信がおすすめです。
ホワイトペーパーの目的は
自社にとって良質のリードを獲得することと、リードナーチャリングを円滑にすることが、ホワイトペーパーの最大の目的です。ターゲット企業の課題解決のためのソリューションを提示し、自社への信頼度を高めます。そういう意味では、ストレートに自社をアピールするような企業パンフレットや営業資料とは異なります。
模範的な例としては、ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社)が提供するeNSPのホワイトペーパーがあります。
リード獲得
ホワイトペーパーは、連絡先や名刺などのユーザー情報を入力・送信するとダウンロードできる仕組みになっています。これにより、ホワイトペーパー提供側はリード情報を獲得することができます。ダウンロードに必要な入力項目は、なるべく少ないほうが望ましいでしょう。あまりに多いと、入力に手間がかかってダウンロードを諦めたり、不信感や不快感を持たれてしまいます。特に見込み度合いがそれほど高くない企業も含めてとにかく多くのリードを獲得したい場合は、入力項目の数は最小限に設定して敷居を低くしましょう。
リード獲得が主目的の場合は、多くの人目を引きやすい自社コンテンツやSNS、他社メディア(広告やポータルサイト)などに掲載します。
顧客育成
ホワイトペーパーは、ターゲット企業との関係性を育んでいくリードナーチャリングのためのツールでもあります。自社とリード企業がお互いの存在を知り、関心を深め、信頼関係を紡いでいくための仲立ちのような役割です。タイミングとしては、既にリード化している企業への提供がベストです。
リードナーチャリング重視のホワイトペーパーの場合、提供方法はメール送付やウェビナー(セミナー)配布がおすすめです。例えば、自社メールマガジンの読者に当たるリードや、過去に自社資料をダウンロードしたリードには、最新情報を盛り込んだホワイトペーパーを送付して自社への購買プロセスを後押しします。ウェビナーでは、参加特典として無料配布すれば喜ばれるでしょう。
受注
ホワイトペーパーは基本的にWebでダウンロードしてもらう資料ですが、直接の営業ツールとしてももちろん活用できます。面談を行った顧客に提供し、受注確度をより高めることができるでしょう。
また、契約後の顧客とのリードナーチャリングでも、ホワイトペーパーは役に立ちます。定期的な最新情報のレポートや、担当者の専門分野をサポートする補完資料などを提供することで、一過性に終わらない持続的な関係を築くことが可能です。LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)につなげることができます。
ブランディング・認知度
第三者を通してホワイトペーパーを紹介してもらうことで、自社のブランド力・認知度が向上します。具体的には、社会的に信頼されている他社のメディアや媒体で掲載してもらうという方法があります。
ただし注意したいポイントは、ホワイトペーパーは営業資料とは異なるということ。確かに営業ツールとしても活用はできますが、自社紹介に特化した資料ではありません。あくまでも、ターゲット企業にとって価値のある情報を提供する資料です。自社のアピールは脇に置き、相手自身も気付いていない課題を啓発し、その課題解決のためのソリューションを事例やグラフなども交えて紹介します。購買プロセスでいうと、ホワイトペーパーによってリードナーチャリングを進め、受注確度を高めてから初めて、営業資料などで自社の存在を強く押し出していくという流れになります。
ホワイトペーパーの種類は
ホワイトペーパーには、目的に応じて幾つかの種類に分けられます。どのような層のリードを獲得したいのか(リードの質か量か)、ターゲットとのナーチャリングがどの程度まで進んでいるかなどをあらかじめ決定し、最適なホワイトペーパーを作成しましょう。以下、課題解決型、事例紹介型、レポート型の3タイプをご紹介します。
課題解決
ターゲット企業が抱えているであろう問題を取り上げ、何が課題であるかを分析し、課題解決策を紹介します。ホワイトペーパーの多くが採用している、オーソドックスなタイプといえます。この課題解決型のポイントは、課題解決のための自社ソリューションを最後に提示すること。企業課題を客観的に分析したうえで解決策を示唆し、その具体例として自社のサービス・商品を挙げるという構成なので、課題解決のためには自社ソリューションが必要であることが読み手に自然と説得力も伴って伝わります。
課題解決型は、まずは自社商品の認知度や信頼度を上げたい場合に役立つホワイトペーパーです。受注確度にかかわらず、幅広い層のリードの獲得に向いています。
事例紹介
実際に自社の商品・サービスを利用している顧客の課題解決例を紹介します。そもそもその企業がどのような問題を抱えていたか、なぜ自社商品を購入したのか、自社ソリューション導入後どのようなメリットを得て課題解決に至ったのか、というビフォーアフターのプロセスを、写真や数値、担当者コメントなども交えてレビューします。
事例紹介型のダウンロード対象は、先述した課題解決型ホワイトペーパーなどを閲覧し、課題を自覚している企業です。その層のリードは、課題解決のためのソリューションは理論的に把握できているため、今度は実例を知りたいという段階に来ています。
つまり、既にニーズが顕在化し、どのサービスを購入しようかと比較検討している企業に一番効果的なホワイトペーパーが、事例紹介型といえるでしょう。
レポート
政府や自治体、業界団体が発行する調査書、あるいは自社が実施したアンケート結果などを開示するのが、レポート型ホワイトペーパーです。レポートを通して、自社商品およびターゲット層が属する業界の動向やトレンドを紹介します。自社をアピールするという点では遠回りの方法ですが、情報の有益性が高いほど、広範囲にわたってシェアされる可能性があります。
そのほか、ウェビナーや展示会などのイベント内容を報告するタイプもあります。写真や動画、参加者アンケートなども織り交ぜてイベント内容をレポート化することで、次回への参加を促す効果があります。
レポート型を作成するポイントは、定点観測を行いながら最新情報に敏感であること。一見面倒な作業のようにも思えますが、調査やアンケートのほとんどはWebで行えるので、それほどコストはかかりません。
ホワイトペーパーの構成
ホワイトペーパーを制作する際は、①課題(自社ソリューションが役立つ課題)、②目標(読者に取ってほしいアクション)、③ターゲット(ダウンロード対象)を設定しましょう。そのうえで、具体的な構成を考えていきます。
表紙
表紙は、真っ先に目に入る顔のようなもの。ダウンロードしたい!と思わせるタイトルを付けましょう。ただし、ホワイトペーパーの内容と一致していることが大前提です。そのうえで、ターゲットのニーズに寄り添っているか、読むことのメリットが伝わりやすいか、ぱっと見てわかりやすいかなどの点に注意して作成します。数字などの具体的な情報を入れると効果的です。
内容
ここでは、課題解決型の基本的な内容構成をご紹介します。
①課題の説明
テーマの背景(時代状況や業界動向など)を共有し、ターゲットの悩み事に寄り添い、課題を浮き彫りにします。
②解決策の提示
いきなり自社商品を出さないように気を付けましょう。まずソリューションそのものを紹介し、次に顧客の事例を挙げる中でさりげなく自社の存在を匂わせます。
③サービスの紹介
ここで初めて自社の商品を紹介します。②で示した自社ソリューションの特徴も整理し、読み手にリマインドさせましょう。
会社概要
会社名や住所、電話・FAX番号、代表者名、事業内容などの企業情報を記載します。必要な情報を簡潔に紹介することがポイントです。「もう少し詳しく知りたいから問い合わせよう」と思わせるくらいの情報量がちょうどよいでしょう。
問い合わせ先
最後には、読者がアクションを起こす「問い合わせ先」ページを設けます。ホームページのURLや担当部門の電話番号、メールアドレス、SNSアカウントのリンクなどの情報を見やすく、コピー&ペーストしやすく、クリックしやすいようなデザインで記載しましょう。また、ホワイトペーパーの作者の簡単なプロフィールも載せておくと、記事の信頼性がより高まります。
まとめ
ホワイトペーパーとはビジネスにおける提案や顧客の疑問に回答するアンサーを掲載する資料です。目的はアプローチからリード獲得、さらには顧客育成などさまざまですが、今日のビジネスには欠かせないつーるとなっています。