はじめに
マーケティングそのものが成り立つために欠かせないのが、企業と顧客をつなぐ「タッチポイント」です。とりわけBtoBビジネスにおいては、Webを活用したデジタルタッチポイントをどのように運用するかということが重要になります。
本記事では、そんなタッチポイントの意義や使い方、種類についてご紹介していきます。
タッチポイントとは
タッチポイントとは、企業と顧客の接点を意味します。コンタクトポイントともいいます。企業から発信される広告やオウンドメディア、SNSメッセージ、あるいは顧客が発信する口コミや問い合わせなど、企業側と顧客側、双方の触れ合うあらゆるチャネルがタッチポイントに入ります。メディア上だけでなく物理的な接点も含みます。
購入前のタッチポイントには、各種メディア媒体の広告やCM、Web上での企業コンテンツや口コミサイトなどがあります。購入時なら、実店舗やスタッフ、商品パッケージ、ECサイトなど。購入後は、カスタマーサービスや会員コミュニティといった場がタッチポイントに当たります。
カスタマージャーニーマップでは、顧客がどのようにタッチポイントを経ていくかをチェックし、行動パターンを分析します。
マーケティングにおけるタッチポイントの役割
1つ目は、自社の認知。商品やサービスを購入してもらうには、顧客(潜在顧客)に自社を知ってもらわなければなりません。そのためにはタッチポイントを増やすことが必要です。
2つ目は、ブランド力のアップ。タッチポイントに工夫を凝らすことで、自社のイメージを制御します。ある企業はイメージカラーを水縹(みはなだ)色に設定しています。「顧客に寄り添う、水のように透明な存在でありたい」をコンセプトに、ホームページやパンフ、広告などのデザインを水縹色に統一し、ブランドイメージをコントロールしています。
3つ目が、継続利用の促進。カスタマーサポートやアフターフォロー、会員向けのサービスやイベントなど、購入後も継続的にサービスを利用してもらえるような接点を設け、末永い関係を築きます。
タッチポイントの種類
タッチポイントは、デジタル系とアナログ系の2種類に大別できます。BtoBマーケティングでは、特に前者のタッチポイントを効果的に運用する必要があります。
この項目では、インバウンドマーケティングに必要不可欠なデジタル系のタッチポイントの種類をいくつかご紹介し、最後にアナログ系の意義についても解説します。
Webサイトのタッチポイント(デジタルタッチポイント)
従来はチラシや営業、展示会など直接的なタッチポイントが主流でしたが、インバウンドマーケティングが広がった現在、SNSやECサイト、オウンドメディアなどWeb上のタッチポイント=デジタルタッチポイントが増えています。
一石二鳥のコンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、潜在顧客に役立つ情報発信によってニーズを育み、購買へと導き、自社のファンに育成するタッチポイントです。集客ブログやランディングページ、ウェビナーなどが該当します。
メリットは、自社認知を上げながらリードナーチャリングを深められること。広範囲に情報を拡散し専門性の高いブランディングを確立しつつ、ターゲットとの双方向的コミュニケーションを通して顧客育成を進められます。また、紙媒体とは違い、一度発信すればWebで機能し続けるため長期的なコストパフォーマンスにも優れています。
運用するコツは、購買プロセスに沿って使い分けること。認知段階ではブログ記事、調査段階ではebook、比較段階ではウェビナー、購入後段階では会員限定コンテンツなど、顧客の段階に応じて最適なコンテンツを提供しましょう。
アンケートはCXの向上に必要不可欠
商品やサービスのクオリティが横並びの中で、競合との差別化を実現するには、CX(顧客体験)を高めることが重要です。このCXを向上させ、将来的にはLTV(顧客生涯価値)にも貢献するタッチポイントがWebアンケートです。商品購入後に実施することで、アフターフォローやサービス改善へのフィードバックにつなげ、顧客との信頼関係を強固にします。
分かりやすい質問事項を設けることは当然として、顧客側が入力しやすいUIにすることも大切です。内容・形式ともに優れたアンケートによって顧客の意見を収集し、NPSやCSEを測定しましょう。NPS(Net Promoter Score)は、顧客のロイヤリティや企業への信頼度の指標のこと。CSE(Customer Effort Score)は顧客努力指標、すなわち顧客がサービスを利用する際に要したストレスの指標を意味します。
企業と顧客どちらも助かる資料請求フォーム
資料請求フォームも、重要なタッチポイントです。請求側・提供側どちらにもWebならではのメリットがあります。
- 顧客獲得のチャンスが広がる
24時間いつでも受け付け可能なので、ユーザー側の都合に応じ好きなときに資料を請求できます。電話やメールよりも、顧客獲得の機会がぐんと広がります。 - 気軽に資料を請求できる
ワンクリックで請求できるため、電話やメールの手間がかかりません。加えて①のようにいつでもアクセスできるので、ユーザーにとって資料請求の敷居が低くなります。提供側も請求に対応するコストを削減できます。 - 対応ミスを防げる
資料請求者をまとめて管理できる、一括資料請求システムがおすすめです。請求者ごとの対応状態や、担当者ごとの作業範囲が確認できるうえ、対応漏れや二重対応などのミスを防ぐこともできます。
ホワイトペーパーの提供にもひと工夫を
事例紹介など課題解決に役立つ情報提供と引き換えにリードデータが得られる、ホワイトペーパー。これもリードナーチャリングには欠かせないタッチポイントです。
ホワイトペーパーは、潜在顧客のニーズに寄り添うための内容面もさることながら、どこで提供するかというタッチポイント面での工夫も重要です。ホームページやランディングページからダウンロードできるようにしたり、ウェビナーで配布する方法が一般的ですが、ほかにもメルマガでの定期配信やSNSでの投稿という手もあります。
また、自社オウンドメディア、例えばブログ記事にダウンロードフォームを付けてもよいでしょう。親しみやすいブログを入り口にすることで、「もっと詳しく知りたい」という自然な流れからダウンロードに導けます。フォーム実装の際は、アクセス数の多い記事を優先すると効率的です。
近道型と遠回り型それぞれの広告活用
デジタルタッチポイントとしての広告は、近道型と遠回り型に分けられます。ナーチャリングの進行度合いに応じ、使い分けましょう。
近道型の代表格はリスティング広告。ユーザーが検索した際、キーワードに連動して出現します。ユーザーはキーワードの関連分野に興味を持っている場合が多く、しかも目につきやすい検索結果上部に表示されるため、商品購入につながりやすいという即効的なメリットがあります。
一方、遠回り型には、自社認知とリードナーチャリングを深めていく効果があります。代表格が、自社サイトにアクセスしたユーザーに、自社サイト外で広告を表示して再訪を促すリマーケティング広告です。通常の記事とほぼ変わらない体裁で、読者に信頼されやすいことが特徴です。FacebookやTwitter、Instagram、LINEなど各ソーシャルメディアに流すことができます。
アナログタッチポイントならではの良さもある
デジタルタッチポイントに比べてアナログタッチポイントは、オフラインでの企業と顧客の接点全般ということになります。折り込みチラシやリーフレットをはじめ、訪問営業、ショールーム、看板、店舗運営、接客業務、電話対応など、従来のアウトバウンドマーケティング手法も含めて多岐にわたります。
この記事ではデジタルタッチポイントを中心に解説してきましたが、だからといってアナログタッチポイントが不要と唱えたいわけでは決してありません。じかのやり取りによって得られる肌感覚のインプレッションは、やはりデジタルタッチポイントにはないアナログタッチポイントならではの長所です。
デジタルタッチポイントとアナログタッチポイント、それぞれの長所を活かし、状況に応じて組み合わせて展開することが、今後のマーケティングを発展させる鍵となるでしょう。
まとめ
【タッチポイントとは】
- 企業と顧客がコミュニケーションを交わす接点。
- デジタル系とアナログ系の2種に分けられる。
【タッチポイントの役割】
- 自社の認知:潜在顧客に商品・サービスを知ってもらう。
- ブランド力アップ:デザインなどの工夫で企業イメージをコントロール。
- 継続利用の促進:カスタマーサポートやアフターフォロー、特典サービス等。
【デジタルタッチポイントの種類】
- コンテンツマーケティング:集客ブログやランディングページ、ウェビナー等。自社認知を上げ、リードナーチャリングを深められる。コストパフォーマンスにも優れている。
- Webアンケート:購入後に行い、結果をサービスに還元し、CX(顧客体験)を高められる。顧客とのつながりを強固にし、LTV(顧客生涯価値)にも貢献。
- 資料請求フォーム:①いつでも請求でき、顧客獲得機会が広がる。②ユーザー側は気軽に請求可能、自社側も対応コストの削減に。③一括資料請求システムなら対応ミスを防ぎやすい。
- ホワイトペーパー:情報提供で信頼を得、リード情報も獲得。自社コンテンツ各種でダウンロードできる工夫を。
- 広告:即効性のあるリスティング広告や、ナーチャリングに役立つリマーケティング広告をターゲットによって使い分けると効果的。