スタートアップ企業のネーミング

スタートアップ企業の戦略を会社名から読み解く

  • 2023年2月27日
  • 2023年2月28日
  • 差別化
スタートアップ企業のネーミング

スタートアップ企業の会社名には、その企業が取り組む事業内容や戦略が反映されることがあります。会社名は顧客との接点となるため、顧客に対してアピールする内容が明確に表現されていることが重要です。

例えば「Uber」という名前は、独自の配車サービスを提供することを意味する「超」というドイツ語に由来しています。この名前は、手軽に車を手配することができることをアピールすると同時に、高級感や革新性を表現することもできます。

また「Airbnb」の名前は、「Bed and Breakfast(B&B)」と「Air Mattress(エアマットレス)」を組み合わせた造語であり、個人が所有する宿泊施設を仲介するサービスの提供を意味しています。この名前は、宿泊施設を提供する個人の親近感や、手軽さをアピールすることができます。本原稿では、スタートアップ企業のネーミングからその戦略的な意図をさぐります。

スタートアップ企業のネーミング

このように、スタートアップ企業の会社名には、その企業が提供するサービスや商品、ブランドイメージに合わせたイメージを表現することが求められます。会社名が顧客に伝えるメッセージを考えながら、魅力的で覚えやすい名前を考えることが重要です。

スタートアップ企業のネーミングの特長

スタートアップ企業のネーミングには、以下のような傾向が見られます。

  1. 短くシンプルな名前:多くのスタートアップ企業は、短くシンプルな名前を選びます。これは、ブランドを覚えやすくするためだけでなく、ドメイン名やSNSアカウント名などの取得もしやすくするためでもあります。
  2. ウェブ2.0スタイルの名前:多くのスタートアップ企業は、ウェブ2.0スタイルの名前を選ぶ傾向があります。これは、サービスがインターネット上で提供されることが多く、覚えやすく、視覚的に魅力的な名前が好まれるためです。
  3. 新しい単語の造語:スタートアップ企業は、時に新しい単語の造語を使って、独自性を出すことがあります。これは、既存の言葉やフレーズでは説明しきれない新しいアイデアやコンセプトを表現するためです。
  4. アクロニム(頭字語)の使用:アクロニムは、企業名や製品名を短く簡潔に表現するためによく使われます。多くのスタートアップ企業は、覚えやすくて簡潔なアクロニムを選ぶことがあります。
  5. 人名を使用:スタートアップ企業は、創業者の名前や、その名前をもじった名前を使用することがあります。これは、創業者の個性やアイデンティティを表現するためであったり、親近感を与えるためでもあります。

これらの傾向はあくまでも一般的なものであり、全てのスタートアップ企業がこれに当てはまるわけではありません。また、スタートアップ企業は、他の企業との差別化を図るために、独自のネーミング戦略をとることもあります。

スタートアップ企業のネーミングから汲みとれる意図

ここのネーミングは公式発表のものばかりではありません。社名から考えられる意図を読み込んでいるもの社名もあります。

  1. Airbnb : “Airbed and Breakfast”の略で、当初はエアマットレスの貸し出しに特化した宿泊サービスを提供していることを表現しています。
  2. Slack : “Searchable Log of All Conversation and Knowledge”の略で、ビジネス向けチャットアプリの名称として、チャットログを検索しやすくすることを表現しています。
  3. Dropbox : ファイルを”ドロップ”するように簡単に保存・共有できるようにすることをイメージして、”Dropbox”と表現しています。
  4. WeWork : オフィススペースの共有サービスを提供する企業で、”We”という名前は共同体感覚を表し、”Work”は作業スペースを提供することを表しています。
  5. Stripe : オンライン決済サービスの名称で、”Stripe”という名前は、クレジットカードの磁気ストライプを表現しています。
  6. Zoom : ビデオ通話およびオンライン会議ソフトウェアで、高速かつスムーズに動作することを表現しています。
  7. Robinhood : 株式取引アプリの名称で、英語の伝説の義賊ロビン・フッドに因んでいます。ロビン・フッドは、貧しい人々から金を奪って富裕層に分配したことで知られています。
  8. Lyft(リフト): 乗り物を共有するサービスの名前で、英語の”lift”(持ち上げる、援助する)と”get a lift”(車で移動する)の言葉遊びを表現しています。
  9. TaskRabbit(タスクラビット): 人々が日常生活でこなす様々なタスクを代行するサービスの名前で、英語の”task”(仕事、任務)と”rabbit”(ウサギ)を組み合わせた造語で、素早く、利用者の役に立つというイメージを持たせることを表現しています。
  10. Quora(クオラ): オンライン上で質問と回答を交換するサービスの名前で、”Quorum”(議決権を持つ最少数の人数、少数意見)に似た言葉で、質問に答えることで新しい情報や考え方が生まれる場所になることを表現しています。
  11. Groupon(グルーポン): グループで購入するクーポンサイトの名前で、”group”(グループ)と”coupon”(クーポン)を組み合わせた造語で、大勢で買うことで割引になるというコンセプトをを表現しています。
  12. Meetup(ミートアップ): 同じ趣味や関心を持った人が集まるためのサービスの名前で、英語の”meet”(会う)と”up”(一緒に)を組み合わせた造語で、実際に会って交流することが目的であることをを表現しています。
  13. Zillow(ジロー): 不動産の販売情報を提供するサービスの名前で、”pillow”(枕)に似た言葉で、住宅を休息や居心地の良い場所として捉えてもらうことを表現しています。
  14. Pinterest(ピンタレスト): ブックマークや画像の共有サービスの名前で、”interest”(興味、関心)と”pin”(ピンで留める)を組み合わせた造語で、自分の興味のあるものをピンで留めて共有することを表現しています。
  15. Zynga(ジンガ): オンラインゲーム会社の名前で、創業者のMark Pincusが愛犬の名と言われています。
  16. ZocDoc: “Zoc”は”doctor”の逆綴りで、予約サービスを提供する医療関連企業であることを示しています。
  17. Fab: “fabulous”(素晴らしい)の略語で、美しく、ユニークで、魅力的な製品を販売するデザインのためのマーケットプレイスであることを示しています。
  18. Warby Parker: “Jack Kerouac”のキャラクターの名前から着想を得て、アイウェアのブランド名として採用されました。視力を補正するための眼鏡を提供する企業であり、ファッション性の高いデザインを提供することを意味しています。
  19. Thumbtack: 「親指と人差し指で留めるもの」という意味の「thumbtack」から着想を得て、様々なサービスを提供するマーケットプレイスであることを示しています。
  20. Nest: 家庭用のスマートテクノロジー製品を提供する企業で、「巣」という言葉から着想を得ています。家庭を温かく、快適で居心地の良い場所にすることを意味しています。
  21. Coursera: オンライン教育プラットフォームであるCourseraは、「コース」と「エラ」(era)を合わせた造語で、未来の教育を象徴しています。
  22. Rent the Runway: ファッションのレンタルサービスを提供する企業で、「ランウェイ」(fashion show)と「レンタル」(rental)を組み合わせたネーミングです。
  23. Squarespace: ウェブサイト作成サービスであるSquarespaceは、「スペース」を表す言葉と「正方形」を表す言葉を組み合わせたネーミングで、シンプルで美しいウェブサイトを作成することを意味しています。
  24. Postmates: 食品や飲み物、その他の商品の配達サービスを提供する企業で、「郵便配達員」という意味の「postman」と「友人」を意味する「mates」を組み合わせています。
  25. Hootsuite: 「Hoot」とはフクロウが発する鳴き声で、この企業がソーシャルメディアの監視を行うためのツールであることを表現しています。
  26. Dollar Shave Club: 安価な定期購入型のカミソリサービスを提供している企業であり、「Dollar」が安価を、そして「Shave Club」が顧客が定期的にカミソリを受け取ることを表現しています。
  27. ClassPass: 健康やフィットネスのクラスを提供している企業であり、「Class」がクラス、そして「Pass」が通過すること、つまり会員が様々なクラスに参加できることを表現しています。
  28. Glossier: 化粧品ブランドで、「Glossy」が光沢のある、輝く、美しく、そして「ier」は比較級を表し、より光沢のある、輝く、美しいことを表現しています。
  29. Blue Apron: 宅配型の料理キットサービスを提供している企業で、「Blue」という言葉が新鮮で、食欲をそそるイメージを表現し、「Apron」は料理に必要なエプロンを表現しています。
  30. Allbirds: 省エネルギーでサステナブルなスニーカーを販売している企業で、「All」が全ての人に、そして「Birds」がサステナブルな素材で作られた商品を表現しています。
  31. Peloton: フィットネス機器とインターネットを組み合わせたサービスを提供している企業で、「Peloton」という言葉は自転車レースの集団走行のことで、顧客が自宅で集団走行を体験できることを表現しています。
  32. Brex: 新しいタイプのビジネスクレジットカードを提供している企業で、「Brex」という言葉はビジネスの新たな展開、そしてスタートアップ精神を表現しています。
  33. moneytree(マネーツリー):「Money(お金)」と「Tree(木)」を合わせた造語で、ユーザーの金融情報を一元管理し、安心・安全なマネーライフを提供するという意図が込められています。
  34. freee(フリー):「free」という英単語の持つ「自由な」「無料の」という意味から、クラウド会計ソフトを無料で提供することで、起業家や中小企業の経営者に自由を提供するという意図が込められています。
  35. Makuake(マクアケ):「Makuake」という単語は、日本語の「幕開け」をもじった造語で、「クラウドファンディングサービスを通じて、新しい商品やアイデアの「幕開け」を応援する」という意図が込められています。
  36. Unifa(ユニファ):「Unifa」という単語は、「Uniform(均一)」と「Fashion(ファッション)」を組み合わせた造語で、「企業の制服やワークウェアのデザイン・製作を行うことで、職場環境の「均一化」と「ファッション性」を両立する」という意図が込められています。
  37. bitFlyer(ビットフライヤー):「ビット」という単語が持つ「情報の最小単位」や「小さな価値」を表す意味から、ビットコインの取引所を運営するという意図が込められています。
  38. Fove(フォーブ):「Fove」という単語は、英単語の「Field of View(視野)」の略語で、「世界初のアイマスク型Eye Tracking VR Headsetを提供することで、自然な視覚体験を実現する」という意図が込められています。
  39. Peatix(ピーティックス):「Peatix」という単語は、「Peat(泥炭)」と「Ticket(チケット)」を組み合わせた造語で、「イベントチケットの販売から、チケット販売を中心としたイベント運営のツールを提供することで、新しいイベントカルチャーを創造する」という意図が込められています。
  40. PayPay(ペイペイ): 2018年に設立された日本のQRコード決済サービス。ソフトバンクとヤフーの合弁企業で、その名前は「支払いをする」という意味の「Pay」と「いい感じ」という意味の「いいね!」をかけ合わせた造語です。
  41. SmartHR(スマートエイチアール) : 2013年に設立された、クラウド型人事管理システムを提供する日本の企業。名前の由来は、「HR(Human Resources=人事)に特化したスマートなクラウドサービスを提供すること」です。
  42. RIZAP(ライザップ) :2011年に設立された日本のダイエットジムチェーン。その名前は、「Rise Up Your Life(あなたの人生を向上させる)」を略した造語です。
  43. SmartNews(スマートニュース) : 2012年に設立された日本のニュースアプリ。その名前は、ニュースを見るためのスマートフォンに特化したニュースアプリであることを表しています。
  44. Mercari(メルカリ):2013年に設立されたフリマアプリ。その名前は、”merchandise(商品)”と”ari(あります)”を組み合わせた造語で、ユーザーが手放したい商品を誰かに届けることで、新たな人生をスタートすることを表現しています。
  45. Sansan(サンサン):2007年に設立された名刺管理サービス。その名前は、名刺の「san(敬称)」を重ねた造語で、名刺をつなぐことでビジネスがより活性化することを表現しています。
  46. BASE(ベイス): 2012年に設立されたECサイト構築サービス。その名前は、「ベース」という言葉から取られており、ECサイトをつくるための基盤(ベース)を提供することを表現しています。
  47. Preferred Networks(プリファード・ネットワークス): 2014年に設立された日本の人工知能スタートアップ。その名前は、「優先的な」や「好ましい」という意味の「preferred」と、ネットワークを意味する「networks」を組み合わせた造語で、人工知能によって優先的に解決すべき問題を特定することを表現しています。
  48. Smart Education(スマートエデュケーション):2014年に設立された、オンライン英会話サービスを提供する日本の企業。名前の由来は、「スマートフォンなどのデバイスを活用した効率的な教育」を提供することです。
  49. Preferred Networks(プリファード・ネットワークス):2014年に設立された日本の人工知能スタートアップ。その名前は、「優先的な」や「好ましい」という意味の「preferred」と、ネットワークを意味する「networks」を組み合わせた造語で、人工知能によって優先的に解決すべき問題を特定することを表現しています。
  50. Wantedly(ウォンテッドリー) – 「wanted(求められている)」と「friendly(親しみやすい)」を掛け合わせた造語で、求職者と企業との「マッチング」を行うサービスを提供しています。

まとめ

スタートアップ企業のネーミングには、その企業が提供する商品やサービスの内容や、その企業のビジョンや理念、創業者の思い入れなど、様々な要素が反映されています。また、独自性が高く、語呂の良さや記憶に残りやすさ、インパクトなど、ブランドイメージを形成する上で重要な要素も考慮されています。今回紹介した50社のネーミングは、それぞれ独自のストーリーが込められており、それが企業のイメージ形成に大きく寄与しています。スタートアップ企業は、ビジネスの新しい形を模索する若手起業家たちが創り上げたものであり、その名前には彼らの情熱や野心が表現されています。今後も、新しい時代に即したユニークなネーミングが誕生することでしょう。

>サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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