はじめに
自社のホームページをすでに所有している場合、たとえば下記のようなニーズでサイトの改良や作り直しを検討するケースがあるでしょう。
- デザインが時代遅れである
- ターゲット層を変えたため、サイトイメージも改良したい
- サイト構造をよりすっきりさせたい
- 運営業務の効率を高めたい
こういった課題を解決するためにWebサイトに手を加え現在よりも集客効率を高めるためにはどうしたらよいのか、具体的な手法を解説します。
既存サイトの部分的な改修をする場合
既存サイトの全改修ではなく、一部分の修正・改良を行いたい場合、サイトの目的に応じて注意点が異なります。たとえば集客力のアップを第一とするのか、業務効率化を優先するのかによって、改良ポイントは違うでしょう。さまざまなケースに共通する改修のポイントをまとめました。
SEO対策キーワードを配置する
自社のWebサイトでより顧客を増やすためには、Google検索などで上位表示されなければなりません。そのためにはSEO対策が必要です。SEO対策の手法はさまざまですが、着手のハードルが低く、原理原則として必ず行いたいのがSEOを目的としたキーワードの配置です。
具体的には、検索する顧客の目線から、どのようなワードに興味関心があるのかを検討し、その叶えたい望みや解決したい悩みに応じたワードを軸にサイトの文章を構成します。キーワードがひと目見て顧客に伝わるよう、パソコン・スマートフォン、両方からの可読性にも注意しましょう。
CTAを強化する
自社ホームページの目的は、訪れたユーザーに何らかのアクションを起こしてもらうことです。そのためには、「資料の請求」や「問い合わせ」などの行動を促すCTA(Call To Action)の動線を分かりやすく設計し、顧客のコンバージョン率を高めていく対策が有効です。
CTAは通常、次のような箇所にボタンなどの形で設置します。
- Webページのヘッダー・フッター
- サイドバー
- コンテンツ(記事)の途中や直後
- LPのファーストビュー、コンテンツとコンテンツの間
- ページ遷移時にモーダルやポップアップでの表示
CTAの設計ポイントは、とにかく顧客を迷わせないことです。選択肢を減らし、視覚的にパッと見てどこをクリックすればいいのかが分かるデザインが望ましいといえます。
ファーストビューを変更する
Webサイトを表示した際、最初に目に飛び込んで来る部分をファーストビュー(FV)といいます。このファーストビューがサイトの第一印象となるため、スクロールせずに見える範囲のデザインは特に重要と考えられています。パソコンと携帯ではそれぞれ見え方が異なるため、ファーストビューの設計時には両方のデバイスの見え方を確認して、改善を試みましょう。基本的には、掲載する情報を絞り、シンプルにわかりやすいデザインに整えるとよいでしょう。つい多くの情報を詰め込みたくなりますが、掲載情報が多すぎるとごちゃごちゃした見た目になってしまい、顧客からの印象が悪くなります。ビジュアルとコピーを工夫し、自社のビジネスの概要や世界観をファーストビューで伝えましょう。
ランディングページを設置する
リスティング広告などと併用することが多いランディングページは、新規顧客の集客に効果的です。1枚ページで顧客を迷わせることなく、購入や問い合わせなどのCTAに誘導するデザインのため、通常の企業ページよりもコンバージョン率が向上する傾向があります。ランディングページのポイントは、企業名ではなく、顧客にとってメリットとなるサービス内容を視覚的にわかりやすく提示することです。3秒でパッと見て内容の概略がわかり、次の4秒でその魅力が理解できるページデザインが理想的でしょう。
リスティング広告を導入する
先述したとおり、ランディングページとリスティング広告は非常に相性がよいため、ランディングページができたらぜひ施策の一環として組み込むべきといえるでしょう。リスティング広告とは、ユーザーがGoogleなどで検索したキーワードに連動して表示される広告のことです。すでにそのテーマに関心がある顧客にアプローチできるため、コンバージョン率が高く、かつ比較的低コストで運用できます。自社メディアやランディングページは単独でも検索可能ですが、よりスピード感を重視して成果を求めるのであれば、リスティング広告が向いているでしょう。ただし、キーワードによっては広告費用が高くついてしまうため、費用対効果の計算は必ず試算してからの実施をおすすめします。
ビジネスブログ(オウンドメディア)を作成する
昨今の顧客は、企業からの広告手法に対して反応率が下がっており、自分から検索した情報や友人・知人からの紹介、口コミなどに信頼を寄せる傾向が強まっています。そのため、多くの企業が注力し始めている施策の一つが、自社のオウンドメディアの運用です。顧客視点に基づいたお役立ち情報を主に発信することで、時間はかかるものの、顧客からの信頼を高め、ファン化させていくことできます。
オウンドメディアを育てていくと、新規顧客の集客にかかる広告宣伝費を削減でき、自社のブランディングにも役立ちます。そのため、自社のサイトを改修するのであれば、ブログの手直しもぜひ合わせて行いましょう。
既存サイトを大幅にリニューアルする場合
たとえばターゲット顧客の全面的な見直しや市場の変化によって、既存サイトを大幅にリニューアルしなければ顧客のニーズに対応できないというケースも考えられます。当然、一部の改修よりもコストがかかる分、より計画的なリニューアルを行うべきでしょう。自社サイトの大幅リニューアルのポイントをまとめました。
現状のサイト分析を行う
自社サイトの全面的なリニューアルの前に、まずは現状のサイトの問題点を整理し、改善ポイントを洗い出しましょう。具体的には次のようなデータを確認するとよいでしょう。
- サイト閲覧数
- 現状のユーザー属性
- ユーザーが使用しているデバイス
- ユーザーの閲覧傾向(時間や曜日)
- ユーザーの流入経路:どこからサイトに来ている?
- 流入の際の検索キーワード
- サイト内の行動や離脱ポイント
上記のデータを分析しながら、サイトデザインや文章をチェックしていくと、たとえば「説明が分かりづらい」「専門用語が難しすぎる」「ビジュアルに魅力がない」などの課題が見えてきます。こうした課題の解決をゴールとして設定し、サイトデザインやコピーの全面修正を行うとよいでしょう。
競合サイトの分析を行う
自社のビジネスにとッテベンチマークとなる競合サイトがあれば、そのサイトの分析も合わせて行いましょう。他社のサイトをチェックすると、競合他社の戦略をうかがい知ることができ、かつニーズ調査も実施できます。
競合のサイトを分析する際には、次のようなフレームワークを活用しましょう。
- 4C分析
- SWOT分析
- VRIO分析
- バリューチェーン
それぞれのフレームワークの使い方は個々では割愛します。自社サイトと見比べながら、情報を整理し、参考にすべき強みや特徴をまとめていくとよいでしょう。
ペルソナを設定する
自社のサイトを大幅に変える場合、あらためて理想となる顧客の分析と設定を行いましょう。理想の顧客のことを、マーケティング用語ではペルソナといいます。
- ペルソナの顧客が解決したい課題は何なのか
- ペルソナの顧客はどのような色やデザインを好むのか
- ペルソナの顧客はどんなデバイスから主にサイトを閲覧するのか
こういった質問に対して細く設定を決めていくと、SEO用のキーワードやサイトのコンセプト、デザインなどもある程度絞られていきます。あとは自社の価値観や世界観とすりあわせて、全体像を決めていくだけです。
対策キーワードを決める
上記と関連して、顧客の流入が見込まれる検索キーワードを決めましょう。ワードが決まれば、あとはコンテンツ内に配置していくだけです。デザインの可読性に注意して、キーワードを散りばめましょう。
サイト構成(サイトマップ)を決める
WebサイトのSEOを高め、かつユーザーにとっても使いやすいサイトにするためには、サイト構成を示すサイトマップの整備が非常に重要です。サイトマップには次の2種類があり、いずれも整えておく必要があります。
- HTMLサイトマップ:サイトに訪れたユーザーに対して、サイトの構成や現在地を示すためのもの
- XMLサイトマップ:GoogleやYahoo!といった検索エンジンに、サイト内のページ1枚1枚の存在を教える役割を果たすもの
顧客を迷わせないように導線を組み立て、GoogleのAIから見てもわかりやすい構造にしておく必要があります。
サイトデザインとUIを決める
サイトマップができたら、いよいよサイトデザインとUI決めです。UIとは、User Interface(ユーザーインターフェイス)の略であり、ユーザーと製品との接点を示します。Webサイト制作の場合は、見た目や使いやすさを指しています。
サイトデザインの基本は、顧客にとって使いやすくわかりやすいことです。おしゃれすぎるあまりに、顧客がどうアクションを起こしていいか迷うサイトは本来の役割を果たしていません。UIの視点を常に意識しながら、顧客に優しいサイトデザインを構築しましょう。
サイトの更新頻度や運営体制を決める
サイトのデザインや大枠も出来上がったら、最後は実際の現場運用です。Webサイトはリニューアルして終わりではなく、定期的にメンテナンスをし、コンテンツを更新していく必要があります。誰が更新を担当するのか、また更新頻度はどうするのかなど運営体制を細かく打ち合わせておきましょう。将来的に担当者が変わる可能性も考慮し、マニュアルを作成しておくと安心です。
まとめ
Webサイトからの新規顧客を獲得するためのポイントをまとめると、以下のとおりです。
- Webサイトにはオウンドメディアや自社ホームページ、ランディングページなどそれぞれ種類があり、用途に応じてWeb広告を組み合わせながら運用すべきである
- 自社サイトを一部改修する場合は、CTAなどの配置を考え、顧客を迷わせない設計や言葉選びを重視するとよい
- 自社サイトを全面的にリニュ-アルする場合は、現状の課題を分析し、あくまでも顧客目線で修正を加えるべきである
Webサイトはいったん作って終わりではなく、運用しながら育てていくものです。自社のWebサイトを育成し、新規顧客を効率よく集客するためのツールとして活用しましょう。