はじめに
ピーター・ドラッカーの考え方や教えは、激しく変化する社会の中で、今でも人気があり、普遍的な存在です。現在、ドラッカーの考えや教えに関する本は数多くあり、実際、読んだり、見かけたりした人もいらっしゃるでしょう。今回は、その中から9冊を選び、本の特徴や内容などをご紹介します。
ピーター・ドラッカーとは
ピーター・ドラッカーは、オーストリア出身の経営学者で、「経営学の父」「ビジネス・コンサルタントの創始者」と呼ばれています。ビジネスを学ぶ過程において欠かせない人物です。ドラッカーの思想は、組織や企業経営の分野にとどまらず、個人のプロフェッショナル成長の分野にも及んでいます。特にマネジメントの分野においては「マネジメントの権威」といわれており、今でも多くの経営者が崇拝しています。また、考えや教えをまとめた著書もビジネスのバイブルとして持っている人もいらっしゃるでしょう。それほど、ドラッカーの教えはビジネスに大きな影響を与えています。これから社会人になる方や仕事に行き詰まり感を抱いている方は、一度、ドラッカーの思想に触れてみてはいかがでしょうか。
マネジメント[エッセンシャル版]
本書は、ドラッカーのマネジメント論を体系化した大著『マネジメント――課題、責任、実践』のエッセンシャル版です。エッセンシャル版とは、本に書かれてある重要な部分だけを抜き出しまとめたものです。その内容は、マネジメントが果たすべき使命と役割、取り組むべき仕事、さらには中長期的に考えるべき戦略が具体的に記されています。ドラッカーは本書を、組織で働く人に、新しい目的意識と勇気を与える書としており、チームリーダーや管理職になりたてのこれからマネジメントをおこなう方におすすめの一冊です。
プロフェッショナルの条件
本書は、仕事をする上でプロフェッショナルとは何か。どうすれば一流の仕事ができるか。など、ドラッカーの教える知的生産性向上と自己実現の秘訣がまとめられています。その内容は、自分の能力を見極め・伸ばす簡単な方法を、ドラッカー自身のエピソードをまじえながら、具体的に記されています。これから、わたしたち一人ひとりがどう成果をあげ、貢献し、自己実現を図っていくかを導いてくれます。本書は、これからの自身の働き方や今後の展望を考えたい方におすすめの一冊です。
マネジメント1 務め、責任、実践
本書は、1972年に刊行されたドラッカーの主著の完全無修正版の新訳を4分冊した中の第一弾です。その内容は、マネジメントにおける「務め、責任、実践」の内、「務め(Tasks)」についてまとめられており、組織の具体的な目的と使命、業務の生産性向上、社会責任を果たす方法などが記されています。ドラッカーの著書は、理解するまでに時間がかかる本が多いですが、本書は比較的に読みやすく、具体的にまとめられています。ただ、4分冊されているため、読む時間はかかります。マネジメントを順序立てて理解したい初心者の方にはおすすめの一冊です。
チェンジ・リーダーの条件
本書は、先ほどご紹介した「プロフェッショナルの条件」の姉妹書で、マネジメントは「なぜ」必要なのか、「何を」行うのか、「いかに」行うのか。についてまとめられています。その内容は、マネジメントの基礎知識から現代社会においてマネジメントは何か。マネジメントにおける課題は何か。を各章で問いかけ、理解した上でどのような戦略で、どのように行動すれば良いのかを示しています。本書は、現状を打破したいリーダーやこれから起業を計画している人におすすめの一冊です。
プロフェッショナルの原点
本書は、キーワードを「行動と成果」とし、仕事で成果を出すために「何がなされるべきか」、「いかになすべきか」にフォーカスしてまとめられています。その内容は、5つの習慣「時間管理」「貢献の仕方」「強みの鍛え方」「集中する方法」「意思決定」をテーマに基本的な考え方からどのように行動すればよいかが具体的に記されています。本書は成果を出せずに悩んでいる人やこれから社会人になる人におすすめの一冊です。
ドラッカー 365の金言
本書は、1年365日で構成されており、ドラッカーの教えがまとめられています。その内容は、マネジメント、事業、グローバル経済、社会など、さまざまな分野でのドラッカーの考えとアクションポイントが1日1ページ記されています。本書で重要なのは、各ページのアクションポイントの下にスペースがあり、そのスペースに読者の考えや、行動したことを記録できるようになっている点です。本書は、ドラッカーの考えを学び、確実に身につけたい人におすすめの一冊です。
ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
本書は、社会経済は大きく変化しする中で、今後、どのような時代がやってくるのか。その様相をまとめています。本書の内容は、少子化問題やIT業界のこれから、どんなビジネスチャンスがあるのかなどが記されています。過去の社会情勢の把握やこれからのビジネスを考えるために役立ちます。本書は、ビジネスにおいて社会や経済の流れを把握したい人におすすめの一冊です。
P.F. ドラッカー経営論
本書は、ドラッカーがアメリカのマネジメント誌『Harvard Business Review』に発表してきた論文を完全収録したものです。その内容は、ドラッカーの理論や教えが年代別に構成されており、世の中の流れに沿ってマネジメントだけでなく、社会情勢や経済などの変化も読み取れる内容です。本書は、ドラッカーファンや経営者、これから起業される方におすすめの一冊です。
イノベーターの条件
本書は、「ニューエコノミー」の前提となる「ニューソサエティ」がどのように生まれ、何を形作るかをテーマに、ドラッカーのこれまでの歴史分析、社会的考察を再構成し、新しい時代の変革に向けて描写と分析結果がまとめられています。その内容は、これからの経営、経済、社会情勢、政治についてそのような状況が予測され、どのように行動すればよいかが記されています。本書は、経営者や経済学者、経営学者の人におすすめの一冊です。
まとめ
今回は、ドラッカーに関する著書を9冊ご紹介しました。
- マネジメント[エッセンシャル版]
- プロフェッショナルの条件
- マネジメント1 務め、責任、実践
- チェンジ・リーダーの条件
- プロフェッショナルの原点
- ドラッカー 365の金言
- ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
- P.F. ドラッカー経営論
- イノベーターの条件
本記事を参考に、それぞれの特徴を把握し、自分に合った一冊を見つけていただければ幸いです。