顧客のペイン・ゲインをマーケティングにいかす

顧客のペイン・ゲインをマーケティングにいかす

顧客のペイン・ゲインをマーケティングにいかす
ペインとゲインは顧客のニーズに結びついている

はじめに

顧客が何らかの商品を買う場合、その背景にはニーズがあります。そのため販売促進や集客の施策を考える際は、事前にニーズのリサーチを行います。そのニーズの中身をさらに細分化すると、見えてくるのがペインとゲインです。ペインとゲインは表裏一体の関係であり、合わせて学ぶすることで、顧客理解が深まります。今回はマーケティング施策に役立つペイン・ゲインについて具体例と合わせて解説します。

ペインポイントとは

ペインとは、英語で「痛み」を表す単語です。マーケティングでペインという場合は、顧客が抱えている何かしらの障害やリスク、課題や悩み、不安などを表します。顧客のニーズは「あったらうれしい」レベルの欲求であることが多く、重要な概念ではあるものの、新規事業を立ち上げるには弱いといわれています。一方ペインは、「お金を払ってでもなんとかしたい」欲求であり、新規事業のタネとして有効な考え方です。このペインを生み出すポイントのことをペインポイントといいます。

たとえばP&Gの消臭剤、ファブリーズは洗濯が面倒くさいという顧客のペインポイントに注目して開発された商品です。「臭いを取りたいが、洗濯回数は減らしたい」という顧客のペインを解消したことで、市場のシェア5割を超えるヒットを叩き出しました。

ゲインポイントとは

お金を払ってでもなんとかしたいマイナスポイントであるペインに対し、ゲインは顧客がプラスとして増やしたいと考えている要素を指します。つまり、顧客にとって「あったら嬉しいこと」がゲインです。顧客が自覚していないことも多く、ゲインポイントを示した商品が世の中に出て、はじめてそのゲインに気づくケースが大半です。

顧客自身も認識していないゲインポイントを見出すのは、ペインポイント以上に困難です。そのため、顧客理解を深めつつ、仮説を立て、実行し、検証します。飲食店であれば、顧客のゲインは「よりよい味」かもしれませんし「コストパフォーマンス」かもしれません。あるいは「見た目の映え」かもしれません。ゲインポイントの仮説〜検証は、顧客の視点や価値観を探る取り組みといえるでしょう。

ペイン・ゲインのフレームワーク

顧客のゲインとペインを把握するためには、フレームワークを使うと便利です。自社のマーケティング戦略で設定している顧客像に基づき、まずは想定されるニーズを書き出していきましょう。

ニーズを書き出した後、さらにその内容から考えられるペインとゲインを洗い出します。このステップを踏むと、ペインやゲインが見えやすくなり、顧客の欲求をよりくわしく可視化できます。

ペインポイントの事例

先述したファブリーズの事例のように、特にペインポイントは新規事業のタネとして活用できる考え方です。ほかにもペインポイントに着目した商品開発の事例は多数あります。ペインポイントから生み出された商品事例をご紹介します。

家事の時短商品

人間が生きるための必要な能力のことをライフスキルと呼びます。いわゆる料理や洗濯といった家事スキルもその一つです。とはいえ、家事は毎日行うもののため負担が大きく、ライフスキルが低い人にとっては苦痛を生み出すものでした。特に子育て中の主婦や共働き世帯にとっては、自由な時間が少ない分、深刻な課題といえます。

そこで「もっと家事を楽にしたい」という顧客のペインに着目した結果、さまざまな時短商品がリリースされました。全自動食器洗い機やロボット掃除機はその好例でしょう。それなりに高価な商品でも、顧客のペインポイントを押さえることで、売れ行きを伸ばしています。

マッチングサービス

顧客と業者をつなぎ合わせるマッチングサービスも、ペインポイントの事例といえます。たとえば、ものづくり企業と開発受注先を探しているメーカーとをつなぎ合わせるビジネスマッチングサービスを提供しているリンカーズの例でいえば、顧客は次のようなペインを抱えています。

  • 自社でイメージしている加工を実現してくれる業者の情報がなくて困っている
  • 開発受注先が見つからず、いつまで経っても新商品開発の目処が立たない

いくら優れた商品の構想があっても、適切なものづくりの技術を持った提携先が見つからなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。そうすると、それまでに割いたリソースが無駄になり、企業経営上、大きなペインとなるでしょう。

こうした顧客のペインを解決するマッチングサービスを提供することでリンカーズは高く評価され、2015年の日経イノベーター大賞では優秀賞を受賞しています。

ニッチ家電

ペインポイントに着目した成功例として、ツインバード工業が手掛けているニッチ家電も挙げられます。同社は小ロット多品種生産を生かして、今までにありそうでなかった家電製品の開発・製造を得意としています。

その一つが、スペースの半分が冷凍室の冷蔵庫「2ドア冷凍冷蔵庫ハーフ&ハーフ」です。この商品が着目したペインポイントは、以下のとおりです。

  • 冷凍食品を特売の時に買いだめしておき、少しでも食費を節約したい
  • 惣菜などを大量に作ってから冷凍保存して、日頃の調理を楽にしたい

従来の冷蔵庫では満たすことの出来なかったペインポイントを解消したことで、売上を伸ばし、一時期は同社の製造キャパシティを超えるほどの人気商品となりました。

まとめ

顧客のペインとゲインについて、ポイントをまとめると以下の3点です。

  • ペインポイントとは、顧客がお金を払ってでも解決したい痛みを示すポイントであり、新規事業のタネとなる考え方である
  • ゲインポイントとは、顧客の「あったらうれしい」部分を示すポイントであり、顧客の視点や価値観への理解に役立つ
  • ペインとゲインを探る際は、顧客の想定されるニーズを書き出してから、細分化していくとよい

ペインとゲインの視点を知っておくと、顧客のニーズをさらに深く理解できます。特にペインポイントはマーケティング戦略で活用できる機会が多いため、ぜひ日頃から顧客の視点に目を配るようにしましょう。

本原稿は「顧客を増やす方程式」に掲載しています。

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サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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