カスタマーベース

顧客基盤(カスタマーベース)と活用方法

カスタマーベース
売上向上には顧客基盤(カスタマーべース)を生かした戦略が必要。

はじめに

顧客基盤というマーケティング用語を耳にしたことはありますか? 別名カスタマーベースとも呼びます。単なる顧客リストとは違い、よりビジネスの土台としての「顧客」を意識して使われる言葉です。意外と誤解しがちな顧客基盤の意味と営業の現場などで具体的に活用する方法を紹介します。

顧客基盤(カスタマーベース)とは

顧客基盤(カスタマーベース)とは、次の2つの条件を満たしている顧客グループのことです。

  1. 企業と顧客の間に一定の信頼がある
  2. 支払いや物流が行える状態になっている

2の条件が少し分かりづらいため、具体例で説明しましょう。たとえばECサイトでいえばメールアドレスや住所などを入力して会員登録を済ませ、あとはカートに入れてボタンを押すだけで決済できる状態まで顧客が準備をすませていれば、2の条件を満たしているといえます。企業側が個人情報のリストを持っていても、2の条件を満たしていないなら顧客基盤には含まれません。

顧客基盤の構築と拡大とは

基本的に全てのビジネスが最初は顧客基盤を持たない状態からスタートします。事業の成長とともに顧客基盤は拡大します。

通常ビジネスが成長すると、顧客基盤には次の変化が生じます。

  • リピーターとなった顧客が、顧客基盤の中でも中核を担うようになる
  • 徐々に購買力のある顧客が増えていき、収益性が高まる
  • 企業のビジョンや価値観と合わない顧客が基盤から離脱していく
  • 何らかの理由で企業が求心力を失うと、それまでの顧客基盤が崩壊する

顧客基盤の規模を広げるだけでなく、個々の顧客の収益性を高めていくことで、売上が安定し、経営状況が改善し、成長が見込めます。

顧客基盤とはリピーター

顧客基盤の中で、特に重視すべきは事業収入の中心であるリピーター顧客です。そのため、狭義の意味ではリピーター顧客のみを指して顧客基盤と呼ぶケースもあります。

ある程度顧客基盤が拡大していくと、新規顧客の集客以上にリピーター顧客の囲い込みや顧客育成(ナーチャリング)に力を注ぐ企業が大半です。新規顧客の集客には既存顧客に対する施策の約5倍のコストがかかり、かつ既存顧客を優良顧客へと育てていくほうが収益性も高まるからです。

顧客基盤の変化とは

では、新規顧客の集客はやめてもいいのでしょうか。その答えは、NOです。顧客基盤は永続的に維持されるものではありません。企業や事業と同じく、顧客基盤にもライフサイクルがあります。どれだけその企業やブランドが好きでも、商品やサービスを消費していくうちに顧客はだんだん刺激に慣れていきます。最終的には、飽きがきて、購入頻度がどんどん落ちていくのです。

そのためにも、企業はリピーターへのプロモーションのみならず、常に一定の新規集客をしながら顧客基盤を強化、または新しく入れ替えていく必要があります。たとえば幅広い顧客の経済事情に合わせて多様な価格帯の商品ラインナップを用意するなど、さまざまな戦略を駆使して顧客基盤の新陳代謝を続けるからこそ、企業は存続し続けられるのです。

顧客基盤を他社と共創する

従来のビジネスでは、企業は自社あるいは関連会社の顧客基盤を主に活用して、営業展開を行っていました。ところが近年では、オンライン技術の普及により、より多くの企業と顧客基盤を共創できるようになりました。企業(売り手)と顧客(買い手)の二者で完結していた関係性に外部の第三者を巻き込むことで、これまでに考えもつかなかった顧客への価値提供が可能になりました。

自社のビジネス領域には限界があり、顧客のニーズ全てを満たすことはできません。社外の企業と手を組み、顧客基盤を相互利用する手法は、顧客層が薄く経営基盤が弱いスタートアップや中小企業ほど積極的に活用すべき戦略でしょう。

顧客基盤の共創のメリット

顧客基盤の共創は、スタートアップや中小企業にとって非常に有用な手法ですが、大企業にもメリットは多数あります。実際、大企業の事例を見ると、顧客基盤を共創することで、新規集客の強化はもちろん、既存顧客とのエンゲージメント強化も効率的に行っていることがわかります。

タリーズコーヒーとキンコーズのコラボ

新宿のオフィスビル群にあるタリーズコーヒーとビジネスコンビニのキンコーズがコラボした事例を見てみましょう。そのエリアのタリーズコーヒー利用者には近隣のオフィスビル勤務者が多いことに注目したキンコーズは、一定期間キャンペーンとしてタリーズで飲食したお客様に自社の利用割引券を配布する施策を行いました。同様に、キンコーズを利用した人にもタリーズの割引券を配布し、結果的に双方とも大きく売上を伸ばしました。

顧客基盤の共創の具体例

先ほど延べたタリーズとキンコーズのコラボ企画は、顧客基盤の共創の具体例の一つです。こうしたビジネスの共創は、実は街中でも多く見かけます。パターンとしては、以下の3ついずれかに当てはまるケースが大半でしょう。

  • 共同プロモーション
  • 相互顧客紹介
  • グループ連携による強化

それぞれ具体例と合わせて解説します。自社であればどの手法が有効か、どの企業と手を組むべきか、ぜひ自分ごとに置き換えながら事例を読んでみてください。きっと顧客へのアプローチ戦略のヒントになるでしょう。

共同プロモーションで相乗効果を発揮

ターゲットとなる顧客層が近い企業同士であれば、共同プロモーションを行うことで、双方にWin-Winの結果をもたらします。たとえば2021年の事例でいえば、国内No.1女性向けメディア「TRILL」を運営するdely株式会社とTwitter Japan株式会社が共同で打ち出した「TRILL×Twitterスポンサーシップ スポンサードライブ」がありました。

20~60代まで幅広い層の顧客にアプローチできるTRILLのインフルエンサーによるライブ告知と拡散力の強いTwitterのプロモツイートをセット販売することで、二重に発注する手間やコストの削減が見込めるというパッケージです。この商品は、両社のターゲットが重複しない範囲で近かったことから、相乗効果を見込んで企画したと考えられます。

相互顧客紹介のモデル

結婚式場とエステサロンのように、相互の顧客ニーズが深く関連し合う場合、顧客基盤の共創として相互顧客紹介ができます。貸衣装屋と写真館のように、顧客を紹介し合うのが業界の通例になっているケースもありますが、より視野を広げると顧客を紹介しあえる相手は実はたくさんいます。

たとえば世界最大のビジネス・リファーラル組織BNIはまさに相互顧客紹介によって成り立っている組織といえます。BNI JAPANの公式ホームページ掲載の実績を見ると、2021年11月現在で年間のリファーラル件数は97万件以上、総売上額は917億円にのぼります。相互顧客紹介の場合は、提携した企業同士が同じだけの価値を受け取れる関係が理想です。

グループ連携による強化

大手企業の場合、グループ企業同士が連携することによって顧客基盤を一気に強化できるケースがあります。たとえば、2021年5月26日の日経新聞で報じられたソニーの経営方針説明会の記事によると、同社はゲームや映画、音楽などのエンターテインメント分野を軸に、長期で顧客基盤を現状の1億6000万人から10億人に拡大する方針を定めたといいます。グループで連携して顧客基盤を急拡大させるメリットの一つは、市場におけるトップシェアを独占状態に近づけ、競合のハードルを上げられることでしょう。

この戦略は、資本力のある大企業だけの話ではありません。たとえば中小企業であっても、グループで連携してニッチな分野のトップを獲得することは十分可能です。

まとめ

顧客基盤(カスタマーベース)についてまとめると、以下の3点がポイントといえます。

  • 顧客基盤とは、「企業と顧客の間に一定の信頼」があり、「支払いや物流が行える状態」の顧客グループのことを指す
  • 顧客基盤は事業の成長とともに拡大・変化し、新規顧客の集客とともに新陳代謝を続けることで企業が存続できる
  • 顧客基盤は自社だけではなく、他社と手を組み、共創しあうことができる

特に顧客基盤の共創は、手を組む相手を間違えなければ大きな利益を双方にもたらします。今後の営業戦略の一環としてぜひ役立ててください。

>サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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