はじめに
BtoBマーケティングを成功させるためには、どのようにナーチャリング(顧客育成)活動を行うかが重要です。この記事ではナーチャリング、特にリードナーチャリングの意義と、それを効果的に運用していくためのポイントについてご紹介します。ナーチャリングを導入する際は、ぜひ参考にしてみてください。
ナーチャリングとは
ナーチャリングは「育成」「教育」といった意味で、ビジネスでは「顧客育成」を指します。見込み顧客を自社サービスへ導く活動も、既存顧客をリピーターとして定着させる活動も、ナーチャリングです。前者は、見込み顧客をリードと呼ぶことから「リードナーチャリング」といわれます。
リードナーチャリングは、自社サービスを購入してもらう可能性を高めていく活動です。BtoBマーケティングでは、営業活動や展示会、イベント、セミナー、ブログやホワイトペーパー、ランディングページなどによってリードの情報を獲得します(リードジェネレーション)。そのうえで見込み度合いを上げていくための活動が、リードナーチャリングです。
リードナーチャリングの獲得ステップとは
ナーチャリングで成果を出すには、下準備や設計、管理が欠かせません。ここからは、見込み顧客を購買につなげるリードナーチャリングを実践する前に心得ておきたいポイントを、「カスタマージャーニー」「UI/UX」「スコアリング」「コンテンツ」「制作業者」の5つに分けてご説明します。
リードとは
「リード」とは顧客になる可能性が高い「見込み顧客」のこと。このリード情報を獲得する活動をリードジェネレーションといいます。リードジェネレーションによって確度が高い顧客にターゲットを絞れば、営業活動が効率化します。
リード獲得後、自社サービス購入につなげていくには、3つの取り組みが必要です。1つ目は、本記事のテーマでもあるリードナーチャリング。Webコンテンツなどでリードが知りたい情報を提供し、自社への信頼と購買意欲を高めます。2つ目は、リードを整理するリードクオリフィケーション。メール開封や資料請求などの行動をスコアリングし購入意欲の高いリードを選別することで、マーケティング精度を高めます。そして3つ目が、顧客体験(CX)の向上。リードに役立つ情報提供やアフターフォローを行い、満足度を高めます。
カスタマージャーニーをつくる
リードナーチャリングは、「カスタマージャーニー」に沿って進めましょう。カスタマージャーニーとは、ターゲット企業の規模や組織、沿革、サービスなどの基本情報に加え、性格や体験、意識、モチベーションの変化も分析した資料です。企業を個人に見立てたプロファイルのようなもので、これを図にしたものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
カスタマージャーニーマップを作成することで、リードのニーズや課題がより明確となり、その見える化したデータは自社全体で共有できます。リードを確実に購買につなげて完全に顧客化するためには、このカスタマージャーニーが必要です。リード獲得後は、リードナーチャリングに取りかかる前に、カスタマージャーニーを設定しておくことをおすすめします。
セールス部門を含むUI/UXを構築する
UI(ユーザーインターフェース)は、人とサービス・商品の接触面を意味します。ウェブサイトなら文字や動画、デザインなどのすべて、物製品なら見た目やパッケージがUIです。一方UX(ユーザーエクスペリエンス)は、人がサービスを利用して得る体験のこと。UXの質を上げるには、ユーザー目線でUIを設計する必要があります。
このUI/UXが、リードナーチャリングでも重要です。リードに提供するWebコンテンツを細部まで心を配って設計することが、結果的にサービスの満足度につながります。
忘れてはならないのは、UI/UXはユーザーありきということ。使いやすいUIを設計しても、肝心のUXが内容空疎なら意味がありません。あくまでもユーザーのニーズに基づいてUI/UXの相乗効果を高めていくことが大切です。
KPI設定やスコアリングの仕組みをつくる
ナーチャリングは、「スコアリング」によって精度を高めることができます。スコアリングとは、指標(KPI)に沿って各リードに点数を付ける仕組みです。そのスコアに基づいてリードを分類し、それぞれに応じたアプローチを行います。自社への関心度合いをスコアリングする場合は、オウンドメディアへのアクセスやセミナー参加などの実態を分析し、数値化します。
なお、スコアリングを行うには「KPI」を計測する必要があります。KPI(Key Performance Indicator)とは、数値目標のこと。自社サイトへのアクセスや営業訪問の回数、成約率などさまざまなデータがKPIとして設定されており、計測期間も月、週、日単位など企業によって異なります。計測値が目標に届かなければ改善策を実施するという流れで、KPIをナーチャリングにフィードバックしていきましょう。
顧客の疑問や要望を満たすコンテンツをつくる
ナーチャリングの要となるのが、ブログやランディングページ、ホワイトペーパーといった自社コンテンツ(オウンドメディア)です。リード情報を獲得しつつ自社への信頼を高め、購買へとつなげるツールとなります。
コンテンツ作成で肝に銘じたいのは、リードにとって役に立つ情報を発信すること。従来のアウトバウンドマーケティングのようにサービスを押し付けるのではなく、有用な記事を通して、自社の認知度と信頼度を高めていきます。
ブログなら専門分野の用語集や競合サービスとの比較、ランディングページやホワイトペーパーなら課題解決のためのノウハウ・事例紹介など、リードが知りたい情報を想定した内容にしましょう。お悩み診断や、有名人からの紹介記事(経営者インタビュー等)、動画やマンガの体裁など、読者が楽しめるようにする工夫も大切です。
コンテンツ制作になれた会社に依頼する
コンテンツマーケティングを運用するには、専門的なノウハウが必要です。素人が手を付けて失敗したときのコストや損失を考えれば、プロに任せるというのも一法でしょう。
コンテンツ制作を依頼する際のポイントは、自社と相性が良く、信頼できる業者を選ぶこと。候補の業者が得意な分野(強み)は何か、その得意分野が自社と合っているかどうかを判断し、そのうえで、マーケティングやSEO対策に強いかどうか、過去の実績を調べるなどして業者のスキルを見定めます。
コンテンツ案の根拠を数字などの具体的データで説明できることや、コンテンツ制作だけでなく公開後の運用や分析などのアフターフォローも担えることも、業者を選ぶ判断材料になります。もちろん、担当者の印象や会社の雰囲気といった感覚的な要素も大切です。
まとめ
リードはあくまでも顧客となる可能性が高い存在であり、すべてが自社サービスを購入してくれるとは限りません。最終的に顧客となるのは1割ともいわれています。
川辺の砂金取りのようなイメージですが、そこで重要になるのがリードナーチャリング。成果を砂金と見立てれば、リードナーチャリングは、ふるいのようなものです。リードとして挙がった企業それぞれに同じ対応をしていては、なかなか成果を掴めません。自社への関心や信頼、相性などの度合いに応じてアプローチをかけ、購買の可能性を高めていく対応が効率的です。
リードナーチャリングでターゲットをえり分け、購買意欲を十分に高めたところで初めて営業部門に引き渡す。このような流れをつくることができれば、コストパフォーマンスの良い企業活動が可能となるでしょう。