はじめに
インバウンドマーケティングが主流となり、企業はリード(見込み顧客)を囲い込むためのWebマーケティングにしのぎを削っています。本記事では、特にBtoBマーケティングで効果をもたらす3大コンテンツ、「集客用ブログコンテンツ」「ランディングページ」「ebook(ホワイトペーパー)」についてご紹介します。
集客用のブログコンテンツとは
集客用ブログコンテンツは、オウンドメディアとも呼ばれています。オウンドメディアはホームページやSNS(ツイッターやフェイスブック等)も含みますが、一般的には企業が運営するブログを意味します。SNSマーケティングの流行後、よりビジネス成果を上げるために自社のウェブサイトをコンテンツメディア化する手法として広がりました。
集客ブログのメリットは、リードに役立つ情報を記事の形で分かりやすく発信し、自社の認知度・好感度を高められる点です。コンテンツがたまりSEOで上位に表示されるようになれば、継続的な集客が期待できます。
以下、「説明型コンテンツ」「並列型コンテンツ」の2つに分けてご説明します。
説明型コンテンツ
説明型コンテンツは4タイプあります。
- エデュケーショナル型:リードが知りたいことを解説する。自社の専門知識に基づく情報提供で信頼を高める。用語集などが作成しやすい。
- ネイティブ広告型: WebサイトやSNS、アプリの「インフィード広告」や検索上位に表示される「リスティング広告」などで、自社への認知を深める。
- コンテンツSEO型:検索エンジンからの流入を狙い、キーワードから記事を作成。検索されやすく、かつ他社が取り扱っていないキーワードを選びたい。
- 面白コンテンツ型:ユニークな記事で、リード以外の幅広い層に訴えかける。
記事を作成するコツは「PREP」です。「Point:結論」「Reason:理由」「Example:例」「Point:結論」の順で説明すると、読みやすくなります。
並列型コンテンツ
並列型コンテンツは、「おすすめ~選」のような記事です。説明型が1つのテーマに沿って解説するのに対し、並列型は商品やサービスをカテゴリー別に一覧できる形で情報を提供します。説明型が情報の「質」重視なら、並列型は「量」重視といえます。
並列型の作成ポイントは3つあります。①商品・サービスの基本情報を提示する、②具体的・客観的な情報を提供する、③読みやすい言葉を使う。
例えばサブスクリプションサービスを紹介する場合は、①サービス名や利用料金、作品数などの基本情報、②他サブスクと比較して際立つ特徴(執筆者の思い入れではなくサービスの相対的なメリット)、③堅苦しい専門用語は避ける。
といった具合に、読み手の目線に立って、暮らしに役立つ内容と参照しやすい形式を意識しましょう。
リードを獲得するebook(ホワイトペーパー)
プロフィール情報と引き換えに資料をダウンロードしてもらい、リード情報を獲得するコンテンツです。テーマやボリュームを自由に決められるebookがおすすめです。企業パンフのダウンロード版ではなく、リードの課題解決のための情報です。自社サービスを紹介する営業資料ではありません。
ebookのテーマ設定
ebookには3タイプあります。リード課題の分析・解決策を提示する「課題解決型」、自社ソリューションによる課題解決例を紹介する「事例紹介型」、政府や業界の調査書などを紹介する「レポート型」です。ここでは、課題解決型のテーマ設定についてご説明します。
- 課題の設定
リードが抱えている課題の中から、自社ソリューションが解決できるものを選ぶ。 - 目標の設定
ebookを読んだリードに起こしてほしい行動を想定する。 - ターゲットの設定
ダウンロードしてほしい人を特定。ターゲットを設定しebookの方向性を明確化する。
マーケティングでのペルソナの設定同様、ターゲットを明確にすればコンテンツが作成しやすくなります。
ebookのコンテンツ設計
繰り返しになりますが、ebookはリードの課題解決のための資料です。自社紹介は後に回しましょう。以下が基本的な構成案です。
- テーマの背景
導入部分。社会状況など、大きな視点からの文脈を共有する。 - 課題の設定
リードの課題を挙げる。指摘ではなく、あくまでも共有するスタンスで。 - 解決策の提示
課題の解決策を提示。自社サービスではなく、ソリューションそのものを紹介する。 - 具体例
解決策の事例を紹介。サービスによって何がどのように解決しどんな変化があったのかを伝える。 - 自社サービス紹介
最後に自社を紹介する。「興味を持たれたらこちらまで」といった控え目なメッセージ。
ebookを手軽に作成できるCANVAとは
ebookの作成ツールにはCANVAがおすすめです。豊富なイラストや画像を使い、ドラッグ&ドロップで感覚的に作業できるので、専門的な知識や技術がなくても簡単にebookを作成できます。また、すべてのページの色や素材、フォントを統一できるので、効率的に作業できます。プロのデザイナーを雇ったり高価なソフトウェアを導入したりするコストもかかりません。
特に優れているのが、クラウドシステムです。自社のブランドイメージを保ちながら共同作業を進められるブランド管理機能や、チームの管理が行えるダッシュボード機能を備えています。また、パソコンやモバイルなど各種デバイスからアクセスできるため、外出先でも作業可能。セキュリティー機能も完備しているため、安心して作業できます。
広告で引き寄せるランディングページとは
ランディングページはWeb上で検索や広告から最初にアクセスするページですが、マーケティングではリードの行動(自社のサービスや説明会への問い合わせ等)を喚起することに特化したページのことをいいます。SEO対策ページから流入させるなどの工夫をすることで効果が高まります。
ランディングページの構成とは
ラインディングページは、基本的に7項目で構成します。
①見出し
冒頭部分。リードのニーズを想定し、関心を引くコピーを当てる。
②導入文
リードの悩みを代弁。上から目線にならないように共感を示す。
③サービスの概要
サービスや商品を紹介。画像や写真も使うとイメージしやすい。
④メリット
自社サービスの効果を説明。サービス内容ではなく利用後の変化を提示する。
⑤反響
顧客の感想を紹介し、サービスのメリットに実感を持たせる。使用実績や実証データ、マスコミ掲載などの情報も効果的。
⑥強み
自社サービスならではの価値をアピールし、競合他社との違いを伝える。
⑦問い合わせ先
お申込みフォーム。クリックしやすい配置やスペース、目立つ大きさと色の文字など。
CTAとマイクロコピー
CTAは、Call To Action(コール トゥ アクション)の略で、行動喚起を意味します。情報入力フォームへ導くボタンや画像、テキストリンクを指し、ランディングページの構成では➆に当たります。Webマーケティングでは、このCTAに添える言葉、マイクロコピーが大切です。
マイクロコピーは、送信ボタンや写真の文言、エラーメッセージなどのテキストです。細部ですが、実は売り上げに影響します。良いマイクロコピーは、ユーザーを不快にさせません。「個人情報を入力する」より「もっと詳しく知りたい」のほうがボタンを押しやすいですよね。情報入力後のメッセージも「送信しました」ではなく「ありがとうございます」にするなど、クリックをためらったり後悔したりさせない気遣いが必要です。
3つのコンテンツの戦略的な使い方とは
これまで紹介してきた集客用ブログコンテンツ、ebook、ランディングページは、購買プロセスに合わせて運用することで真価を発揮します。また、MA(マーケティング活動を自動化するツール)も組み合わせれば、より確かな成果につなげることができます。
購買プロセスに応じたコンテンツ運用
WebによるBtoBマーケティングでは、リードの購買プロセスに応じたコンテンツの設定が重要です。購買プロセスは、「認知」「調査」「比較」「リピート」の4段階に分けられます。集客ブログ・ebook・ランディングページは、「比較」までの3段階に対応させましょう。
- 認知段階 → 集客用ブログ
自社サービスを知らず、リード自身もニーズを認識していない状態。まず自社の存在を知ってもらう必要がある。リードが情報収集を行う前の段階なので、いきなりサービスを押し付けると逆効果。リードの関心事項に訴えかける話題をブログやSNSなどで発信し、認知を得る。 - 調査段階 → 集客用ブログ、ebook
ニーズが顕在化し、リード自身が情報を収集し始めている状態。課題の解像度を上げ、解決するためのソリューションを理解してもらう必要がある。課題解決例など個々の項目はブログで、そのブログ内容をまとめた情報はebookで発信し、理解を促す。 - 比較段階 → ランディングページ
リードは課題解決のソリューション導入は決めているが、どのサービスにするかはまだ決定していない状態。競合他社の中で自社を選んでもらう必要がある。ランディングページによって他社にはない自社の強みを伝え、意思決定を後押しする。
MAによってマーケティングをスムーズに
MA(マーケティングオートメーション)は、BtoBやBtoCのマーケティングを自動化することで収益向上につなげるツールです。ebookやランディングページなどからリードの情報を収集・管理する「リードジェネレーション」や、コンテンツを発信して自社サービスへの購買意欲を高める「リードナーチャリング」など、リードの特性に合わせた戦略的なマーケティング活動をサポートしてくれます。
まとめ
自社が知ってほしい情報ではなく、リードが知りたい情報を発信する。これがインバウンドマーケティングの基本です。相手はこちらを知らないというハードな前提に立って関心を引き、求められている情報を提供して、購買へと導いていきます。
従来のアウトバウンドマーケティングは、飛び込み営業はもちろん、ダイレクトメールやテレマーケティング、広告でさえも、自社が伝えたい情報を一方的に届けるものでした。しかしその押し付けは、企業みずから情報収集を行っている昨今、有効とはいえなくなっています。
リードが求める情報を想定し、購買プロセスに沿ってコンテンツを発信することが、インバウンドマーケティングを成功させる秘訣です。