新規顧客の獲得コストの算出法と見直しポイントとは

新規顧客の獲得コストの算出法と見直しポイントとは

新規顧客の獲得コストの算出法と見直しポイントとは
顧客獲得にかかるコストはしっかり計算しよう

はじめに

既存顧客のリピート促進に比べて5倍以上のコストがかかる新規顧客の集客。特に近年ではそのコストがかさみ、10倍近い費用が発生するケースもあるといいます。広告費や販促費を見直す際、新規顧客の集客コストを計算し、必要に応じたコスト削減は不可欠です。小会派新規顧客の獲得コストの具体的な算出法と、コスト削減を行う際の見直しポイントについて解説します。

顧客獲得費用(CAC)とは

顧客を獲得するためのコストを、マーケティング用語ではCACといいます。英語の「Customer Acquisition Cost」の略であり、日本語では「顧客獲得費用」という意味です。BtoBのビジネスであれば、顧客1社あたりの獲得に必要なマーケティングおよび営業のコスト全般の総額を指します。CACは、さらに以下の3種類に区分して考えることができます。

  • Organic CAC:自然に増える顧客の獲得コスト
  • Paid CAC:広告を始め、お金を支払って獲得した顧客コスト
  • Blended CAC:「Organic CAC」と「Paid CAC」の2つを合わせた顧客コスト

顧客獲得費用について検討する際は、上記3つのどのCACの話かを明確にした上で、見直しを行いましょう。

顧客獲得コストの算出手順とは

CACの算出は、ある一定期間に投資したマーケティングおよび営業コストの合計金額を獲得した顧客の数で割るのが基本的な考え方です。たとえば10万のコストで10人を集客できた場合、CACは1万円という計算です。もしこのCACの値が、顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上回る場合、見直しを行わない限り、事業の存続は厳しいでしょう。なぜなら、顧客を獲得するたびに必ず損が発生するため、CACのコスト削減もしくはLTVの向上を図らない限り、集客をする意味がなくなるからです。

投資家の視点では、次のポイントを満たすビジネスには投資の価値があると判断できます。

  • LTVがCACの3倍以上である
  • CACのコストを12ヶ月以内に回収できる

これらの基準を満たすビジネスは、順調な成長を遂げているビジネスだと判断できます。

顧客獲得コストを削減する方法

顧客獲得コストを削減するためには、当然ながらより少ない費用で同じだけの集客を実現する必要があります。そのためには、顧客についてリサーチを深め、エンゲージメントを高めて集客効率全体を改善するのがポイントです。具体的な手法について、解説します。

顧客調査

集客の効率化のためには、顧客のリサーチが必須です。顧客の反応率がよいアプローチ法がわかれば、その手法にリソースを集中することで、集客効率を高めることができます。顧客のデータを収集し、閲覧しているメディアや好みの傾向を探るためには、かなりの労力が必要です。ただし、こういった準備によって、結果的に顧客の集客コスト削減につながります。

エンゲージの獲得

各種タッチポイントを通じて顧客とのコミュニケーションを図り、エンゲージメントを獲得することで、集客コストの軽減が狙えます。エンゲージメントの獲得のためには、自社企業の商品だけではなく、その価値観やビジョンを発信し、共感や理解を得る機会を増やす必要があります。たとえばSNSやオウンドメディアを運用し、企業からのメッセージを定期的に発信するのも一つの方法です。時間はかかりますが、顧客のエンゲージメント向上が期待できます。

コストの安い期間でイベントを実施

CACを削減するためには、集客コストがかさみがちな土日祝日や繁忙期の施策を避けるべきです。集客コストがピークとなる時期を見極め、あえて競合他社が狙わない時期にキャンペーンやイベントを展開し、顧客への訴求を行いましょう。たとえば長期休暇のある夏やイベント事の多い冬は、イベントコストがかさみがちです。したがって、集客コストが季節によって変動するイベントの場合、春や秋開催のほうがコスト削減効果を見込めます。

多くのチャネルを試す

集客目的の宣伝を行う場合、さまざまなプラットフォームを複合的に使用するケースは多いでしょう。しかし、それぞれの手法ごとにコストがかかるため、多くのチャネルをテスト的に使用しながら、効率のよい媒体を見出しましょう。たとえばほぼ同一内容のキャンペーンを複数チャネルで展開し、それぞれの投資対効果を計算すれば、継続すべき戦略とそうでない戦略を見極められます。低コストでLTVの高いユーザーを獲得できるチャネルを1つか2つ見出すことができれば、あとはいったん投資を中断して、そのチャネルを積極利用すればよいでしょう。

顧客の生涯価値最大化を目指す

顧客にはそれぞれのライフサイクルがあり、必要なものやサービスは時期によって異なります。自社商品以外にも、たとえば提携先の商品をクロスセルで販売したり、自社商品のアップセルを勧めたりと、顧客のタイミングを見計らって、適切な営業を行いましょう。そうすると、顧客のLTVを向上させることができます。顧客のLTVを最大化できれば、おのずとCACの費用対効果の基準が変わります。クロスセルやアップセルを行うためにも日頃から顧客のニーズをヒアリングし、かつ自社の手札を増やすための取り組みを推進しておくべきでしょう。

広告宣伝費を見直すポイント

事業が拡大していくと、宣伝広告費のコストはどんどん増えていくものです。見直しを行わないまま宣伝広告に投資をすると、CACが増えていき、費用対効果の効率が落ちていきます。広告宣伝費を見直す際に注目すべきポイントを説明します。

効果測定が不明な広告の見直し

広告宣伝の見直しで最初に行うべきは、効果測定が不明な広告がないかどうかの確認です。あらゆる広告は効果検証を行いながら、改善を加えて最適化を図るものだと考えましょう。費用対効果がわからない広告は、利益率の算出ができないため、企業にとってはただのコストになってしまいます。広告代理店など、広告宣伝を外注している場合は、効果測定の説明が納得できるものかどうかで、規模の縮小や削減を判断するとよいでしょう。

競合他社の方法を分析する

広告宣伝費の最適化には、競合他社の事例が役立ちます。特に、その業界のロールモデルとなっているような企業であれば、広告運用も洗練されたマーケティング戦略に基づいているため、見習うべきポイントがたくさんあります。たとえば下記のようなポイントをチェックしてみましょう。

  • 広告を出稿している媒体
  • 広告のデザインやメッセージ内容
  • 広告からの導線設計
  • 自社が運用している広告との相違点

ネット広告はターゲットを絞り込む

ネット広告を出す場合は、とにかく顧客をしっかりとセグメンテーションし、ターゲットを絞り込みましょう。現在の広告運用の反応が悪い場合、セグメントわけが適切かどうか飲み直しも重要です。

ネット広告の優れた点は、ターゲットの絞り込みと効果測定が容易な点です。そのため、特に資本が少ない中小企業にとっては積極的に活用すべき媒体でしょう。SNS広告であれば月1万円程度から試験的に運用し、反応を見ながら投資額を徐々に増やす選択も可能です。CACが顧客のLTVを十分に上回ることさえ分かれば、あとは積極的に投資し、集客を行いましょう。

集客の仕組みをつくる(Webの活用)

仮に広告費に割く資金がない場合でも、費用をかけずに集客できる仕組みを主にオンライン上で準備しておきましょう。次のような手法であれば、ほとんど費用をかけずに集客をスタートできます。

  • 代理店制度
  • アフィリエイト広告
  • WebサイトやSNSの活用

もちろん効果がある程度見込める場合、資金的な余裕が生まれたら、そのチャネルに投資し、利益を増やしていけば事業拡大が見込めます。

セールスの効率化を進める

新規顧客の集客は、自然発生以外はなんらかのセールスの結果です。したがって、セールスの効率を向上させれば、人件費などのCACの削減に加え、時間や労力コストも軽減できます。セールスの効率化を推進するためのポイントを解説します。

顧客の絞り込みを行う

たとえばWeb広告を展開し、ランディングページから月20件問い合せが発生したとしても、そのほとんどが冷やかしや温度感が低い顧客であれば意味がありません。大切なのは、より成約率の高い顧客に訴求していくことです。そのためには、たとえば下記のような絞り込みを行うとよいでしょう。

  • よくある質問をまとめておき、確度の低い問い合わせ頻度を減らす
  • ランディングページからのアクションに顧客からのコストを発生させる
  • Web広告の出稿媒体を見直し、よりターゲットに合った媒体を選びなおす

アクションに伴う顧客からのコストとは、たとえば資料請求の際に、送料だけは顧客に負担してもらうといった手法です。低額でもコストがかかる分、本当に興味のある顧客だけに絞り込むことができます。

営業活動の振り返りを行う

営業担当者が日々の営業活動を日報として記録し、提出します。この日報を単なる作業にするのではなく、業務効率化につなげる材料にすることで、全体の生産効率を向上できます。

たとえば、営業日報の中で必ず課題の洗い出しと改善策の提示を行うようにすると、営業活動を日々改善できる可能性が高まります。また、上司が部下の営業日報をチェックする際も、営業活動の効率アップの余地がないかを確認し、適切な指導を行えればベストです。SFAなどの支援ツールを使う場合、優れたノウハウをチーム全体で共有すれば、全体のレベルアップも期待できます。

セールススキルの共有を進める

上記で述べたとおり、営業日報などを効果的に使い、優れた事例やノウハウをチーム内で共有できる仕組みを作れば、セールススキルの全体的な向上が見込めます。また、トラブルの芽も共有できるため、早期発見と対策が可能となります。営業担当者はノウハウを人に明かしたくないと考える傾向がありますが、チームで取り組むという意識を醸成し、全体のスキルアップを目指していくとよいでしょう。

顧客管理を可視化する

顧客管理を可視化するためのシステムとして、営業を支援するSFAがあります。SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略です。日報や案件管理などの役割に加え、顧客管理ができるのがSFAの大きなメリットです。たとえば各営業担当者がSFAに顧客情報を入力していくことで、各社名や住所、商談履歴、決裁者情報、受注確度などを一元管理できます。しかも検索機能によって、商談の現在進捗などをすぐに確認できるため、チーム全体で顧客のアプローチを検討し、営業効率を高めやすくなります。

まとめ

新規顧客を算出するためのコスト算出方法や具体的な見直しについてポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 顧客獲得コストのことをCACと呼び、顧客のLTV以下であることが最低条件である
  • 顧客のLTVの3分の1以下、かつCACのコストを12ヶ月以内に回収できることが事業成長の順調度合いの判断基準となる
  • CACの削減のためには、顧客のリサーチや広告宣伝費の見直し、営業効率の向上などが必要である

CACは、マーケティング担当者や経営者はもちろんのこと、営業担当も把握しておきたい考え方です。よりコストを抑えながら集客を実現すべく、CACの算出と見直しは定期的に行いましょう。

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